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和晒とは

和晒(わざらし)とは

和晒は、天然繊維(木綿・コットン)に含まれる不純物を取り除き、白く清潔な状態にするための、日本独自の伝統的な精錬・漂白技術です。
この「精錬」と「漂白」の2つの工程を合わせて、一般的に「晒(さらし)」と呼びます。

織りあがったばかりの木綿生地は、本来「生成り色(薄いベージュ)」をしており、天然の油分や色素、植物の破片(綿カス)、そして織機で織り上げる時に糸が切れないために使われた糊などが付着しています。
これらが残っていると水を弾いてしまい、色を染めることもできないため、不純物を洗い落とし取り除く「晒」という工程が不可欠です。

晒に重要な精錬と漂白の2つの工程を説明

■ 精錬(せいれん)=クレンジング(汚れ落とし)

精錬は、繊維の奥に含まれている「油分」や「糊」、「綿カス」を煮沸して浮かせ、洗い流す工程です。これにより、繊維は水をよく吸うようになり、後で染める時に綺麗に色が染まるようになります。お化粧や皮脂汚れをクレンジングオイルでしっかり落とす作業と同じです。

■ 漂白(ひょうはく)=トーンアップ(下地作り)

漂白は、綿が持っている黄色っぽい色素を分解し、繊維を真っ白にする工程です。これにより、清潔感のある純白の生地に仕上がります。

和晒は、綿という素材が本来持っている吸水性や柔らかさを最大限に引き出すための、江戸時代から続く伝統的な製法です。大阪府堺市の石津川沿いにあるわずか数軒の工場で、国内の和晒生産の90%以上を担っており、日本の繊維産業における貴重な財産となっています。

一方で、現在、一般的に流通している綿製品の多くは「洋晒(ようざらし)」という近代的な手法で作られています。

洋晒と和晒の工程の違い

綿を洗い白くするという目的は同じでも、「洋晒」と「和晒」ではその方法が正反対です。この工程の違いは、最終的な品質に差を生み出します。

洋晒と和晒の違いの図解

■ 洋晒の技術=効率を追求

洋晒は、生地を機械ローラーで引っ張りながら、強い薬品と圧力をかけ、一気に加熱処理を行います。全工程はわずか40分から1時間程度で完了します。

非常に効率的ですが、生地には常に強い張力(引っ張る力)と圧力がかかります。また、表面を滑らかにするために「毛焼き」を行い、繊維の毛羽を焼き切るのが一般的です。

表面はツルツルなりますが、圧力によって綿の繊維は押しつぶされ、断面が「扁平(へんぺい)」な形状になり繊維が潰れているため、ふんわりとしたボリューム感は失われやすいです。

■ 和晒の技術=素材を引き出す

一方で和晒は、「和晒釜」と呼ばれる巨大な釜に生地を入れ、そこで「約4日間」という長い時間をかけて水流と蒸気、薬剤を循環させ、ゆっくりと炊き上げます。

機械で無理やり引っ張ったり、押し付けたりする工程はありません。また、釜の中で生地が泳ぐように動くため、繊維に余計なストレス(張力や圧力)もかからないのが最大の特徴です。

結果、繊維が押し潰されることがなくリラックスした状態で不純物だけが除去されるため、顕微鏡で見ると繊維の断面は潰れずに「円形」を保っています。

そうして綿が持っている本来の「優しさ」を限界まで引き出すのが和晒の技術です。

工程が生み出す品質の違い

■ 「吸水性」と「通気性」

洋晒で潰れてしまった繊維とは異なり、和晒の繊維は円形でふっくらとしているため、繊維一本一本の中に空洞や隙間が保たれています。
さらに重要なのが、和晒は表面の「毛羽(けば)」を焼かずに残している点です。

この「円形の繊維構造」と「微細な毛羽」が水分を瞬時にキャッチするため、高い吸水性を発揮します。

また、繊維間の空気の通り道が確保されることで通気性にも優れ、夏は涼しく、冬は空気の層で暖かいという、天然の温調機能が働きます。

■ 「洗うほど育つ」柔らかさ

和晒の製品は、新品の状態だとパリッとした質感であっても、洗濯を繰り返すことで表面に残された毛羽が立ち上がり、そこに空気を含んでいくため、使い込むほどにふんわりとしたボリュームが増していきます。

洗えば洗うほど、革製品のように自分の肌に馴染んで「育つ」生地は和晒ならではの特徴です。

■ 「安全性」と「衛生面」

約4日間かけてじっくりと不純物を除去し、繊維を押しつぶさない製法は、綿本来の優しさを最大限に引き出します。

その清潔さと肌への刺激の少なさから、古くから赤ちゃんのオムツや肌着、医療用のガーゼ、腹帯など、最も安全性と衛生面が求められる分野で使用されてきました。

敏感肌の方でも安心して使用できる、「頬ずりしたくなる」ような質感が特徴です。

現代における価値

2019年(令和元年)、大阪発祥の染色技法である「浪華本染め(なにわほんぞめ)/注染(ちゅうせん)」が、経済産業大臣指定の伝統的工芸品に指定されました。この伝統的工芸品の品質を決定づけているのが、土台となる「和晒」です。
江戸時代から「堺和晒」として全国に知られていた品質が、注染の特徴である「表も裏も同じように美しく染まる」仕上がりを実現しています。

また、大量生産・大量消費の時代において、和晒は「よりよいものを、より長く使う」という価値観を体現しています。職人が手間を惜しまず作り上げた和晒製品は、使い込むほどに肌に馴染み、長持ちするため、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも再評価されています。